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マルト、フリーランスを案件に並べる順を、手作りの決まりから過去の契約に学ぶAIに替え、生成AIの技能の点数も加える

2026.10.20
マルト、フリーランスを案件に並べる順を、手作りの決まりから過去の契約に学ぶAIに替え、生成AIの技能の点数も加える

マルト(Malt)は、フランスで生まれたフリーランスの紹介サイトです。同社は、案件に合うフリーランスを並べる仕組みのうち、人が一つずつ作った決まりで順位を調整していた部分を、過去の契約から学ぶモデルに替えました。あわせて、生成AIで作った「技能が合うかの点数」を、並べ替えの手がかりに加えています。同社の技術ブログ(2026年6月22日)によると、契約まで進んだ組は14%増えました。ただ、ブログには測り方がほとんど書かれていません。

この事例で分からないこと

  • 14%が何と比べた数字か、測った期間、件数、時期
  • 新しい並べ替えのモデルと、生成AIから作った技能の点数の、どちらがどれだけ効いたか
  • 外の人による確かめ(出典は同社のブログと、同社の研究者の論文だけ)

何が起きたか

マルトは2013年にできた会社で、フランス、ドイツ、スペインなど9つの国と地域で使われています。仕事を頼みたい会社が案件を出すと、100万人近いフリーランスの登録の中から、合いそうな人を順に並べて出します。

並べ方は3つの段に分かれています。まず、言葉や分野、場所で数千人まで絞ります。次に、その人たちを細かく並べ替えます。最後に、地域の法律の決まりなど、必ず守る条件に合わない人を外します。今回変えたのは、まん中の並べ替えです。

前の仕組みも言葉の意味の近さを使っていました。「フロントエンドの技術者」を探す案件に、「React の開発者」と書いた人を出すことはできました。それでも、言葉が近いだけでは、その仕事をこなせるかまでは分かりません。入門の講座を受けただけの人も、有名な道具を作っている人も、同じように「Python」と書けるからです。

場所や予算、空き具合は、手作りの決まりで調整していました。たとえば、国境の向こうに住む人の順位は、国内の人より客先に近くても、一律に下げていました。

並べ替えをどう変えたか

同社はこの手作りの決まりをやめ、1つのモデルに替えました。モデルは過去のやり取りの記録から、その案件で契約まで進むかを学びます。学ばせるときは、どこまで進んだかで差を付けました。応募しなかった人より応募した人を上に、話し合っただけの人より契約した人を上に置きます。

手がかりは100を超えます。本人の情報には、経歴の書き込み具合、評価、問い合わせへの返信の割合などがあります。案件との組み合わせの情報は、距離、同じ言葉を使っているか、その会社と前に仕事をしたか、などです。モデルには木を何本も重ねて予測する方式の CatBoost を使いました。理由として、中身を説明しやすいこと、計算が軽いこと、データが少なめでも強いことを挙げています。

生成AIで作った技能の点数

技能が合うかをもっと細かく測るために、同社は専用のモデルを作ることにしました。ただ、過去のやり取りの記録は、そのままでは手本になりにくいものでした。経歴が案件の求める技術とぴったり合っていても、会社が「技能が足りない」と断った例がありました。室内の設計をする人が、IT の設計者の分類に登録している例もありました。

そこで生成AIに、フリーランスがその案件をこなせるかを0〜1で採点させました。点数が0.6未満なら、こなせそうにないと見ます。生成AIは重く、並べ替えのたびに使うと費用と時間がかかります。そのため、生成AIの点数をまねる軽いモデルを作り、並べ替えの手がかりの1つにしました。

同社の研究者の論文によると、点数を付けた生成AIは Gemini 2.0 Flash です。使ったデータは、2023年1月から2024年4月までの案件です。軽いモデルは案件と経歴の組1000件を1分以内で採点し、比べた別の公開モデル(Qwen3 の並べ替え用、Gemma3)は7分と約13分かかりました。

結果

📢 公表されている説明 ⚠️ こちらで確認できていないこと
新しい並べ替えと技能の点数を合わせて、契約まで進んだ組が14%増えた 何と比べたか、期間、件数、時期。数の増え方か、率の伸びか
偏りの確かめはした どんな確かめをしたか
技能の点数は、生成AIの点数をまねて作った 人の判断や契約の結果と比べた正しさ(論文の物差しは生成AIの点数)
2つの部品を一緒に入れた 生成AIの部分だけで、どれだけ効いたか
14%も論文の数字も、同社の人が測った 外の人による確かめ

凡例:📢=当事者が公表している説明 ⚠️=出典に書かれておらず、こちらで確認できていない点
出典:マルトの技術ブログ(2026年6月22日)、同社の研究者の論文(arXiv、2026年1月)

誰に関係するか

建設会社で、工事ごとに声をかける協力会社を選ぶ購買の担当にも使えます。過去の工事ごとに、協力会社が「見積もりを頼んだだけ」「見積もりが出た」「発注まで」のどこまで進んだかを記録しておきます。「県外の会社は一律に後回し」のような手作りの決まりは、その記録から学ぶ並べ方に替えられます。工事に合う実績があるかは、生成AIに工事の説明と会社の施工実績を0〜1で採点させます。その点数が当てになるかは、担当者の判断と食い違う例を見て確かめます。新しい並べ方を入れるときは、前の並べ方と同じ期間で比べ、発注まで進んだ数で見ます。

まとめ

マルトは、フリーランスを案件に並べる手作りの決まりを、過去の契約から学ぶモデルに替え、生成AIで作った技能の点数を手がかりに加えました。契約まで進んだ組は14%増えましたが、何と比べたか、期間や件数、生成AIの部分がどれだけ効いたかは書かれていません。

参考文献

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)

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