ポーランドのミェンジズドロイェ(Międzyzdroje)町役場は、公正証書から当事者や不動産の項目を抜き出すAI「エクストラクト(ExtrAct)」を、役場の中の機械で動かして試しています。デジタル省の発表(2026年7月24日)と、それを伝えた業界紙によると、実際の公正証書366通での抜き出しの成功率は94.96%でした。ただし、何を正解として測ったかは出ていません。
この事例で分からないこと
町役場では、不動産の税や土地の管理のために、売買などの公正証書を読み、当事者や物件の情報を写す仕事があります。公正証書には十数ページから数十ページのものがあります。町長のマテウシュ・ボベク(Mateusz Bobek)さんは、この町に公正証書が多いことを、この仕組みを選んだ理由に挙げています。
エクストラクトは、デジタル省がお金を出すイデアス研究所(Instytut Badawczy IDEAS)が作りました。2026年7月の報道の時点で、町役場は7か月試しています。
AIの中身は詳しく出ていません。省は、多くの役場には言語モデル(LLM)を動かせる機械がなく、機械の購入をすすめることが多い、と説明しています。
| 📄 試したこと | 発表された数字 |
|---|---|
| 試した公正証書 | 366通(平均26.59ページ、長いものは76ページ、42%超が30ページ超) |
| 抜き出しの成功率(全体) | 94.96% |
| 不動産の項目 | 94.47% |
| 当事者の項目 | 94.96% |
| 権利の書きぶりの分析 | 98.21% |
出典:業界紙 CRN(2026年7月26日)。省の発表は「350通超」「約95%」「98%超」と書く。何を正解として測ったかは、どちらにも書かれていない。
デジタル省の大臣クシシュトフ・ガウコフスキ(Krzysztof Gawkowski)さんは、町役場を訪れたあと「職員の仕事は平均5分の1になる。公正証書の扱いで5人が要った仕事を、今は1人でできる」と話しました。町長は「手で数時間かかっていたことが、数分になる」と言います。
費用は町で年に約2万ズウォティ(約80万円。1ズウォティ40円で換算)で、使っているのは7人です。町長によると、30〜40年働いてきた人も使い方を覚える必要がありますが、今は職員がこの道具を信頼するようになりました。省は2026年8月から、ほかの役場にも試しを呼びかけています。
| 📢 公表されている説明 | ⚠️ こちらで確認できていないこと |
|---|---|
| 抜き出しの成功率は94.96% | 何を正解として、だれが測ったか。職員が手で読んだときの誤りとの比べ |
| 職員の仕事は平均5分の1、5人の仕事を1人で | 測った期間と件数(大臣の発言で、数字の出どころが出ていない) |
| 手で数時間かかっていたことが数分 | どの作業を何件測ったか(町長の話) |
| ほかの役場でも使える | 別の役場や別の書類での結果(今は1つの町役場の試験) |
| 省の発表と報道 | 外の人による確かめ。報告書や論文 |
凡例:📢=当事者が公表している説明 ⚠️=出典に書かれておらず、こちらで確認できていない点
出典:デジタル省の発表(2026年)、CRN(2026年)、ジェチポスポリタ紙(ポーランド通信の記事、2026年)
不動産の仲介や管理、司法書士や行政書士の事務所で、売買の契約書や登記簿を読み、物件や当事者の情報を管理の表に手で写している事務の担当にも使えます。写す項目を先に決め、AIに抜き出させて表にします。値ごとに元の文書のどこから取ったかを示させ、担当がクリックで確かめてから確定します。外に出せない書類なら、事務所の中の機械で動く形を選びます。始める前に、過去の書類50通ほどで、担当が手で写した表とAIの表を項目ごとに比べ、どの項目で外れるかを数えておきます。
エクストラクトは、公正証書から当事者や不動産の情報を手で写す手間を減らす道具で、値を確定するのは職員です。ミェンジズドロイェ町役場では7人が使い、費用は町で年に約80万円です。94.96%は何を正解として測ったかが出ておらず、「仕事が5分の1」も測り方の分からない大臣の発言です。