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ギリシャのハニア市、議会の録画をAIで文字起こしして話題ごとにまとめ、市民が自分の地区の議題を通知で受け取れるようにした

2026.10.26
ギリシャのハニア市、議会の録画をAIで文字起こしして話題ごとにまとめ、市民が自分の地区の議題を通知で受け取れるようにした

ギリシャ・クレタ島のハニア市(Δήμος Χανίων)は、市議会の録画をAIで文字起こしし、議題ごとに要約と決定をまとめて公開しています。使っているのは、非営利の団体が作った「オープンカウンシル(OpenCouncil)」です。文字起こしは48時間以内に団体の人が全部確かめます。市民は住む地区や関心のある議題を登録すると、WhatsApp やメールで知らせを受け取れます。経済協力開発機構(OECD)のAIの事例集の掲載ページは、手作業の文字起こし200時間超が要らなくなったと書いていますが、測り方は書かれていません。

何が起きたか

ギリシャの市議会は、法律では公開の会議です。ただ、OECD のAIの事例集(OECD.AI)の掲載ページは、「公開されていても、実際には近づきにくい」と説明しています。理由には、記録が長い録画だけで言葉では探せないことと、自分の住む通りの話がいつ出るかも分からないことを挙げています。

ハニア市は2025年5月14日、市役所で記者会見を開き、オープンカウンシルの試験運用を発表しました。会見には市長のパナギオティス・シマンディラキス氏、市議会の議長、デジタル行政担当の副市長、市の情報部門の部長、作ったクリストス・ポリオス氏が出ました。ポリオス氏は「最初に組んだのがハニア市で、ここ数か月いっしょに作ってきた」と話しています。OECD.AI の掲載ページは、ハニア市での始まりを2025年1月と書いています。

オープンカウンシルを運営する会社は、アテネの非営利の団体スキーマ・ラボ(Schema Labs)が持っています。団体のページによると、作っているのは5人です。

AIの使い方

会議1回の流れは、団体の説明ページによると次のとおりです。

  1. 市が議題を出した時点で、会議のページを作ります(会議の3〜7日前が多い)。
  2. 会議の録画から、AIが数時間で文字起こしを作ります。この時点の文字起こしには「誤りが残っているかもしれない」と表示します。
  3. 団体の人が、会議から48時間以内に文字起こしを全部確かめます。
  4. そのあと、議題の切り分け、議題ごとの要約、議員ごとの発言の要点、話に出た場所を、AIで自動に出します。
  5. 決定の文書は、国の公開サイト(ディアヴギア)に市が載せたものを、あとから自動で探して結びつけます。

話す人は、声で見分けます。公開されている今のコードの説明では、声の特徴は本人が同意した人の分だけを使います。

この説明では、文字起こしにイレブンラボ(ElevenLabs)の Scribe v2、話す人の切り分けに pyannote、要約にアンソロピック(Anthropic)の言語モデルを使っています。2025年の試験運用のときも同じだったかは書かれていません。

市民向けには、議題を地図の上の場所と結びつけています。地区や関心を登録すると、その議題が会議に出るときに知らせが届きます。

発表された数字

📊 1年目の数字(OECD.AI の掲載ページ) 内容
ハニア市で扱った会議 70回超、計110時間超
公開までの時間 数週間から数時間に
手作業の文字起こし 200時間超が要らなくなった
ほかの市町村 1年で9つが導入(人口約2000人のサモトラケ島から66万5000人超のアテネまで)

出典:OECD.AI「OpenCouncil (Subnational: Municipality of Chania)」(2026年9月23日追加)

掲載ページは、初めはサイトを見る人が見込みより少なかったとも書いています。そこで、地区や関心ごとの知らせを足しました。「いちばんの課題は技術ではなく、人の行動だった」という説明です。

今のハニア市のページには138回の会議が載っています。団体のページでは、使っている市町村は14、公開した会議は728回です。これは1年目より後の数字です。

料金は団体のページに出ています。会議1時間あたり20ユーロ(約3500円。1ユーロ176円で換算)で、人の直しを含みます。ほかに、人口に応じて月0〜2000ユーロ(約35万円)の利用料がかかります。どちらも付加価値税を含みません。人口2000人までは無料です。団体は「議事録を作る業者を、同じくらいの費用で置きかえる」と説明しています。

公表された説明と、確かめられていないこと

📢 公表されている説明 ⚠️ 確認できていない点
手作業の文字起こし200時間超が要らなくなった だれが、何と比べて測ったか
公開までが数週間から数時間になった 導入前の公開にかかった日数の記録
48時間以内に人が全部を確かめる AIの文字起こしの誤りの割合、直した量
議事録を署名できる形で出す ハニア市が、どこまで正式な議事録として使っているか
2025年1月に始まった(OECD.AI) 市の発表は2025年5月の試験運用で、時期の書き方が合わない

凡例:📢=当事者が公表している説明 ⚠️=出典に書かれておらず、こちらで確認できていない点
出典:OECD.AI の掲載ページ、ハニア市の発表(2025-05-14)、オープンカウンシルの説明ページ

誰に関係するか

会議の録音から議事録を作っている自治体や団体の事務局なら、次の順番で進められます。AIの文字起こしを先に出し、「誤りが残っている」と表示しておきます。人は決まった時間内に全部を確かめ、要約と決定の一覧はそのあとに作ります。

社内の会議なら、記録を全員に配るだけでなく、関係する議題をその人に知らせる形もとれます。声で話す人を見分けるなら、先に本人の同意を取る手順が要ります。

まとめ

ハニア市での成果の数字は、OECD.AI の掲載ページが1年目の分として載せているものだけです。200時間超と「数週間から数時間」の測り方、文字起こしの誤りの割合、議事録がどこまで正式な記録として使われているかは、どの出典にもありません。

参考文献

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)

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