ギリシャ・クレタ島のハニア市(Δήμος Χανίων)は、市議会の録画をAIで文字起こしし、議題ごとに要約と決定をまとめて公開しています。使っているのは、非営利の団体が作った「オープンカウンシル(OpenCouncil)」です。文字起こしは48時間以内に団体の人が全部確かめます。市民は住む地区や関心のある議題を登録すると、WhatsApp やメールで知らせを受け取れます。経済協力開発機構(OECD)のAIの事例集の掲載ページは、手作業の文字起こし200時間超が要らなくなったと書いていますが、測り方は書かれていません。
ギリシャの市議会は、法律では公開の会議です。ただ、OECD のAIの事例集(OECD.AI)の掲載ページは、「公開されていても、実際には近づきにくい」と説明しています。理由には、記録が長い録画だけで言葉では探せないことと、自分の住む通りの話がいつ出るかも分からないことを挙げています。
ハニア市は2025年5月14日、市役所で記者会見を開き、オープンカウンシルの試験運用を発表しました。会見には市長のパナギオティス・シマンディラキス氏、市議会の議長、デジタル行政担当の副市長、市の情報部門の部長、作ったクリストス・ポリオス氏が出ました。ポリオス氏は「最初に組んだのがハニア市で、ここ数か月いっしょに作ってきた」と話しています。OECD.AI の掲載ページは、ハニア市での始まりを2025年1月と書いています。
オープンカウンシルを運営する会社は、アテネの非営利の団体スキーマ・ラボ(Schema Labs)が持っています。団体のページによると、作っているのは5人です。
会議1回の流れは、団体の説明ページによると次のとおりです。
話す人は、声で見分けます。公開されている今のコードの説明では、声の特徴は本人が同意した人の分だけを使います。
この説明では、文字起こしにイレブンラボ(ElevenLabs)の Scribe v2、話す人の切り分けに pyannote、要約にアンソロピック(Anthropic)の言語モデルを使っています。2025年の試験運用のときも同じだったかは書かれていません。
市民向けには、議題を地図の上の場所と結びつけています。地区や関心を登録すると、その議題が会議に出るときに知らせが届きます。
| 📊 1年目の数字(OECD.AI の掲載ページ) | 内容 |
|---|---|
| ハニア市で扱った会議 | 70回超、計110時間超 |
| 公開までの時間 | 数週間から数時間に |
| 手作業の文字起こし | 200時間超が要らなくなった |
| ほかの市町村 | 1年で9つが導入(人口約2000人のサモトラケ島から66万5000人超のアテネまで) |
出典:OECD.AI「OpenCouncil (Subnational: Municipality of Chania)」(2026年9月23日追加)
掲載ページは、初めはサイトを見る人が見込みより少なかったとも書いています。そこで、地区や関心ごとの知らせを足しました。「いちばんの課題は技術ではなく、人の行動だった」という説明です。
今のハニア市のページには138回の会議が載っています。団体のページでは、使っている市町村は14、公開した会議は728回です。これは1年目より後の数字です。
料金は団体のページに出ています。会議1時間あたり20ユーロ(約3500円。1ユーロ176円で換算)で、人の直しを含みます。ほかに、人口に応じて月0〜2000ユーロ(約35万円)の利用料がかかります。どちらも付加価値税を含みません。人口2000人までは無料です。団体は「議事録を作る業者を、同じくらいの費用で置きかえる」と説明しています。
| 📢 公表されている説明 | ⚠️ 確認できていない点 |
|---|---|
| 手作業の文字起こし200時間超が要らなくなった | だれが、何と比べて測ったか |
| 公開までが数週間から数時間になった | 導入前の公開にかかった日数の記録 |
| 48時間以内に人が全部を確かめる | AIの文字起こしの誤りの割合、直した量 |
| 議事録を署名できる形で出す | ハニア市が、どこまで正式な議事録として使っているか |
| 2025年1月に始まった(OECD.AI) | 市の発表は2025年5月の試験運用で、時期の書き方が合わない |
凡例:📢=当事者が公表している説明 ⚠️=出典に書かれておらず、こちらで確認できていない点
出典:OECD.AI の掲載ページ、ハニア市の発表(2025-05-14)、オープンカウンシルの説明ページ
会議の録音から議事録を作っている自治体や団体の事務局なら、次の順番で進められます。AIの文字起こしを先に出し、「誤りが残っている」と表示しておきます。人は決まった時間内に全部を確かめ、要約と決定の一覧はそのあとに作ります。
社内の会議なら、記録を全員に配るだけでなく、関係する議題をその人に知らせる形もとれます。声で話す人を見分けるなら、先に本人の同意を取る手順が要ります。
ハニア市での成果の数字は、OECD.AI の掲載ページが1年目の分として載せているものだけです。200時間超と「数週間から数時間」の測り方、文字起こしの誤りの割合、議事録がどこまで正式な記録として使われているかは、どの出典にもありません。