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コロンビアのカリ市、窓口の職員が手続きを案内するためのAIの助手を試し、答えの元になる情報を部署ごとに直す決まりを作った

2026.10.27
コロンビアのカリ市、窓口の職員が手続きを案内するためのAIの助手を試し、答えの元になる情報を部署ごとに直す決まりを作った

コロンビアのカリ市は、手続きを案内する窓口の職員が使うAIの助手を試しました。試すなかで、答えの元になる情報がばらばらで古いことが分かり、各部署が自分の手続きの情報を直す決まりを作りました。経済協力開発機構(OECD)の事例を集めるサイト「OECD.AI」には、処理の時間が25%減ったという数字があります。ただ、この数字は市の資料になく、内部の調査で前と後を比べただけで、外の人による検証もありません。元の情報を直しながら測ったのでAIの分は切り分けられず、使う組と使わない組を比べる試験の結果も見つかりません。

この事例で分からないこと

  • 処理の時間25%減、誤り18%減、満足72%→89%は、OECD.AIの掲載ページだけにあります。市と米州開発銀行の資料には、この数字がありません
  • 数字は内部の調査で前と後を比べたもので、何の時間か、何を誤りと数えたか、何人に聞いたかが書かれていません。元の情報を直しながらの試験なので、AIの分を切り分けられません
  • 使う組と使わない組を比べる試験は2026年1〜5月の予定でしたが、結果は見つかりません。外の人による検証もありません

何が起きたか

カリ市は人口約250万人のコロンビアで3番目に大きな市です。市には、38の部署の手続きを一か所で受ける窓口があります。市役所の窓口と地区の14の窓口、電話の195番、ネットのチャットで受け、1日に約1,000件の問い合わせが来ます。手続きの数は218です。市の資料によると、この窓口の職員は18人で、客の77%は窓口に来ることを選びます。

困っていたのは、情報がばらばらで、職員によって案内が違うことでした。答えるのが遅れ、客を迷わせ、市への信頼も下がっていました。

市の組織の改善の担当部署は、米州開発銀行(IDB)の支えを受けて、2025年に約8か月かけて窓口を見直しました。200人超の職員がむだを減らす手法の研修を受け、19の部署の60人超が改善の点を話し合いました。AIの助手「カリ・レスエルベ(Cali ResuelVE)」は、この見直しの一部です。

AIの使い方

助手はアンソロピック(Anthropic)のクロード・ソネット(Claude Sonnet)を使います。職員がふつうの言葉で聞くと、答えをその場で作ります。答えの元は、市の手続きを管理する仕組みのデータだけです。このデータをAPI(ほかの仕組みからデータを取り出す口)で出し、一か所の資料の置き場にまとめて、そこから探して答えます。OECD.AIの掲載ページは、全部をAIに生成させる作りではなく、客と話すのは職員のままだと書いています。

試すなかで、手続きの費用の出し方に誤りが見つかりました。答えが出るまで4分を超えることもあり、別の基盤のモデルを使って1分未満にしました。

主な問題は、技術よりも仕組みの側にありました。情報がばらばらで古く、部署どうしのつながりが弱く、成果を測る物差しもありませんでした。市は、手続きの情報をウェブに出す決まりを強め、各部署が自分の情報を直す役を持つようにしました。窓口の働きを測る道具を8つ受け取り、測る指標は、日々の仕事の出来、案内の質、受け止めと成果の3つに分けることを検討しました。

発表された数字

📊 項目 数字 出どころ
処理の時間 25%減 OECD.AIの掲載ページ(内部の調査で前と後を比べた)
誤り 18%減 同上
内部の使う人の満足 72% → 89% 同上
答えが出るまでの時間 4分超 → 1分未満 市と米州開発銀行のPDF(別の基盤のモデルを使って短くした)

出典:OECD.AI「Cali ResuelVE Knowledge Library (Subnational: Cali)」(2026-09-08 掲載)、市と米州開発銀行「Cali ResuelVÉ. De la orientación a la acción. Resultados 2025」

公表された説明と、確かめられていないこと

📢 公表されている説明 ⚠️ 確認できていない点
処理の時間が25%減り、誤りが18%減った(OECD.AIの掲載ページだけ) 何の時間か、何を誤りと数えたか、件数と人数
元の情報を直しながら試した 数字のうち、AIの分と情報を直した分の切り分け
答えは市の確かめた情報だけから作る 答えの誤りを、だれがどう確かめているか
税の部署で、使う組と使わない組を比べる 2026年1〜5月の予定だった試験の結果
25%・18%・72%→89%の数字 外の人が確かめた記録
将来は市民が直接使う道具にできる 時期と費用

凡例:📢=当事者が公表している説明 ⚠️=出典に書かれておらず、こちらで確認できていない点
出典:OECD.AIの掲載ページ(OECDの担当者が掲載)・市と米州開発銀行のPDF

市は次に、同じ分割払いの手続きを持つ2つの部署を、助手を使う所と使わない所に分けて比べるとしています。AIの分の効果を切り分けるためです。市の資料では、試す先に税の部署を選び、2026年1〜5月に行う予定でした。

誰に関係するか

多くの部署の商品や手続きの問い合わせを一か所で受けるコールセンターに関係します。AIの助手を入れる前に、答えの元になる資料の持ち主を部署ごとに決め、古い資料を直す手順を作れます。

商店街の組合や観光協会の案内所で、店や催しの情報を何人もの担当で答えているなら、AIを考える前に、元の情報を一か所にまとめ、だれが直すかを決めるところから始められます。

まとめ

OECD.AIの掲載ページは教訓として、AIが役に立つのは、手順がはっきりし、データが確かで、部署が持ち主として責任を持つときだと書いています。

参考文献

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)

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