英国の消費財の会社ユニリーバ(Unilever)は、メールやPDF、紙の写真などで届く注文を、AIで読み取って入力する仕組み「ノバ(NOVA)」をマイクロソフトと作りました。マイクロソフトが2026年10月26日に出した記事で、ユニリーバの担当者は、試験をしている11の市場で注文の最初の処理が15〜20分から約90秒になったと話しています。注文の95%は人の手を通らずに済み、足りない情報や例外は人が見ます。数字は会社の説明で、何件で測ったかや、AIの読み間違いの数は出ていません。
この記事はマイクロソフトの英国向けの記事(10月26日)と、米国の消費財の業界誌の記事(9月28日)、AIの導入を請け負う会社マーク・デジタル(Maak.Digital)の整理(10月26日)にもとづきます。
ユニリーバはダヴ(Dove)などの商品を作る会社です。スーパー、卸、通販の会社など、直接の取引先は約30万あります。マイクロソフトの記事では、受ける注文は年に約2000万件です。業界誌の記事では約2300万件とされています。
注文の多くは、すでに会社どうしの仕組みの間で、データのままやりとりされています。残りの約200万件はメール、PDF、表計算のファイル、紙の注文書の写真など、形がばらばらです。世界各地の拠点で、社員がこれを読み、社内の仕組みに手で打ち込んでいます。
ユニリーバは、取引先に書式をそろえてもらうのではなく、届いた形のまま受けることにしました。受注から入金までを担当するディーパロク・ロイ・チョードリー(Deepalok Roy Chowdhury)氏は、「客がこちらの技術に合わせるべきではない」と話しています。
ノバはマイクロソフトのAIの開発基盤(Microsoft Foundry)の上で作った、5つのAIの役の組み合わせです。
1. 4つの役が届いたメールを読み、何の注文かをとらえ、注文の中身を抜き出します2. 5つ目の役がその結果を確かめます3. 足りない情報がある注文や、いつもと違う注文は、人に回します
業界誌の記事によると、ノバは読み取った注文を、会社の基幹の仕組み(SAP)に入れます。使っているAIのモデルの名前は、どの記事にも書かれていません。
ユニリーバは作る前に、顧客業務を分析している社員に聞き、確かめと打ち込みのうち、どの作業に一番時間がかかっているかを調べました。最初の数か月は仕組みの形を探すのに使ったといいます。
返金などの申し立てを確かめる作業にも、同じ技術を使っています。こちらは、マイクロソフトの技術者が加わり、8週間たらずで作って試しました。
数字は、ユニリーバで顧客業務の技術をまとめるフランシス・カストロ(Francis Castro)氏が話したものです。
| 測ったこと | ノバを使ったあと | 比べたもの |
|---|---|---|
| ⏱️ 注文を受けてから入金までの、最初の段階の時間 | 約90秒試験をしている11の市場 | 使う前:15〜20分 |
| ✋ 人の手を通らずに済んだ注文の割合 | 95%例外は人が見る | — |
| 🚀 注文の処理の速さ | 8倍速い | 使う前 |
| 📦 本番で処理した注文 | 数千件 | — |
数字は、ユニリーバのフランシス・カストロ氏がマイクロソフトの記事(2026年10月26日)で話したもの。—=比べたものの記載なし。
返金の申し立ては2倍速く処理でき、新しい取引先の登録にかかる時間は90%短くなったとも話しています。ただし記事は、このうちどこまでがノバによるものかを書いていません。
ユニリーバはノバを50を超える市場に広げる計画です。業界誌の9月の記事では、最大の市場である北米で、まもなく使い始めるとしていました。
もとになった記事は、ノバを一緒に作ったマイクロソフトが出したものです。
| 📢 公表されている説明 | ⚠️ こちらで確認できていないこと |
|---|---|
| 最初の段階が15〜20分から約90秒になったユニリーバの説明 | ⚠️ 何件の注文で測ったか、平均か中央値か ⚠️ 使う前の15〜20分と、同じ条件で比べたか ⚠️ 「8倍速い」との関係(15〜20分を90秒で割ると10〜13倍になり、合わない) |
| 注文の95%が人の手を通らないユニリーバの説明 | ⚠️ AIが読み間違えた注文の数と、あとで直した手間 ⚠️ 95%が11の市場すべての合計か、一部の市場の数字か |
| 返金の申し立ては2倍速く、新しい取引先の登録は90%短くなったユニリーバの説明 | ⚠️ どこまでがノバによるものか、ほかの取り組みの分か |
| 50を超える市場へ広げるユニリーバの計画 | ⚠️ いつまでに広げるか、北米のほかにどの市場か(記載なし) |
凡例:📢=当事者が公表している説明 ⚠️=出典に書かれておらず、またはこちらで確認できていない点
説明は、マイクロソフトの記事(2026年10月26日)による。
マーク・デジタルは、90秒は11の市場での最初の段階の数字で、全世界の平均や、注文から入金までの全体の時間ではないと書いています。
形のばらばらな書類を受け取り、人が読んで打ち込んでいる仕事に関係します。たとえば、手書きやPDFで届く申請書を受け付ける市役所の窓口で働く人、写真で届く修理の見積書を確かめる保険会社の担当者、保護者から紙やメールで届く申込書をまとめる学童保育の職員です。
小さな職場で試すときも、読む役と確かめる役を分け、合わないものは人に回す形にできます。先に1件の入力にかかる時間と打ち間違いの数を測っておけば、AIに任せたあとで、速さだけでなく読み間違いの数でも比べられます。
ユニリーバが変えたのは、取引先の書式ではなく、自社の受け取り方でした。約90秒は11の市場での試験で、最初の段階にかかった時間です。読み間違いの数が出るまでは、速さの数字だけでは、使える仕組みかどうかを決められません。