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中東の不動産アプリのプロパティ・ファインダー、物件写真を見るAIの試験の正解を人が付け直し、別のモデルに替えた

2026.10.28
中東の不動産アプリのプロパティ・ファインダー、物件写真を見るAIの試験の正解を人が付け直し、別のモデルに替えた

中東と北アフリカで不動産の掲載のアプリを営むプロパティ・ファインダーは、物件の写真を調べるAIを安いものに替えようとしました。乗り換えの準備のなかで、比べるための正解の96.8%が、いま使っているAIの答えの写しだと分かりました。会社は、詳しい人に正解を付け直してもらい、別のモデルに替えています。経緯は、2026年10月27日のAWSのブログに会社の社員とAWSの担当が書いたもので、外の人による確かめはありません。

何が起きたか

プロパティ・ファインダー(Property Finder)は、毎日数万枚の物件の写真を受け取ります。1件の物件に平均15枚の写真があり、載せる前にすべて確かめます。確かめる項目は1枚に11あり、透かしの文字、部屋の種類、家具があるか、写真の質、工事中かなどです。

会社は、この仕事をもっと安いAIに任せたいと考えました。ところが、比べるための正解を調べると、96.8%が、いま使っているAIの答えをそのまま写したものでした。これでは、どのAIを試しても、今のAIに似ているほど点が高くなります。

正解には誤りもありました。透かしの文字を読み違え、ない会社名を書いた答えが、正しいとされていました。人が付けた残りの3.2%にも、決めた項目にない「事務所」のような分け方が見つかっています。

AIの使い方

会社は、正解を作り直しました。アラブ首長国連邦(UAE)の実際の掲載から写真を選び、不動産の掲載の基準に詳しい社員1人が、前のAIの答えを見ずに356枚に正解を付けました。迷う写真は、AWSの生成AIの担当の組と話し合って決め、付け方をそろえています。エジプトの写真230枚にも正解を付けましたが、結果は出していません。

部屋の種類は、1枚に1つだけでなく、いくつも付けられるようにしました。廊下の写真の奥に寝室が見えるなら、両方を付けます。

そのうえで、AIへの指示文を少しずつ直しました。外した写真を見て、何がまちがいの元かを探し、次のバージョンに入れます。バージョンは v0 から v27 まで進みました。例を2つ挙げます。

  • 戸口の奥に見える部屋ではなく、写真の多くを占める部屋で分ける
  • 地域によって写真に入る、飾りのアラビア文字は透かしとみなさない

最後は、メタ(Meta)の公開モデル「Llama 4 Maverick 17B Instruct」を、AWSのAIの貸し出しの仕組み「Amazon Bedrock」で動かす形にしました。1枚の写真の11の項目を、1回の呼び出しでまとめて出します。

うまくいかなかった方法も書かれています。透かしとほかの項目を2回に分けて聞くと、正しさは上がらず、枠のある写真の見分けが大きく下がりました。どの写真にも使える一般の指示文は、どのモデルでも役に立ちませんでした。

発表された数字

点数は「マイクロF1」です。当てたラベルと外したラベルをまとめて数えた点数で、1が満点です。

📊 比べたもの 前のAI → Llama 4 Maverick
356枚の試験(マイクロF1) 0.56(指示文 v22) → 0.80(v27_PF)
256枚の練習用(マイクロF1) 0.55 → 0.81
写真1,000枚あたりの費用(見積もり) — → 2.35ドル(約350円。1ドル150円で換算)、前の仕組みの見積もりより86%安い
答えが返るまでの時間(社内の見張り) — → 前の仕組みより40〜60%短い

出典:AWSのブログ(2026-10-27)。前のAIの名前と費用の実額は出ていません

数字には、条件があります。356枚の試験には、指示文を直すのに使った256枚が含まれ、ブログも点数が高めに出ると書いています。指示文を直した回数も違い、Llama は何回も、前のAIは1回だけでした。費用は2025年12月の時点の見積もりで、多めに見た数です。比べた前の仕組みの見積もりは、別のバージョンの指示文で出したものです。

項目ごとに見ると、写真の向きは100%、人が写っているかは97%、透かしがあるかは94%当たりました。部屋の広さは65%、透かしの文字を読み取るのは55%にとどまりました。

公表された説明と、確かめられていないこと

📢 公表されている説明 ⚠️ 確認できていない点
正解の96.8%が、前のAIの答えの写しだった 写しが入った経緯
356枚の試験で0.56から0.80になった 指示文を直すのに使わなかった写真だけでの点数
11の項目すべてで前のAIと同じか上回った 前のAIの名前と、同じだけ指示文を直したときの点数
費用は86%安い見積もり 実際に払った額
遅れは40〜60%短い 測った期間と測り方
本番で毎日数万枚を調べている 掲載の作業の時間や、誤りの数の変化

凡例:📢=当事者が公表している説明 ⚠️=出典に書かれておらず、こちらで確認できていない点
出典:AWSのブログ(2026-10-27)。AWSとプロパティ・ファインダーの社員の共著で、外の人による確かめはありません

誰に関係するか

中古車の販売店で、車の写真をAIに確かめさせている担当者は、別の道具を試す前に、比べる正解の作り方を見直せます。今の道具の答えを正解にすると、新しい道具は今の道具とずれた分だけ低く見えます。

宿の予約サイトで客室の写真を分けている担当者にも、同じことが起こりえます。手だては、数百枚を選んで、詳しい人が前の答えを見ずに正解を付けることです。指示文を直すのに使う分と最後に比べる分を分けておけば、点数が高めに出るのを防げます。

ブログは、2つのモデルの答えが食い違った写真を、人が見る写真に選ぶ方法も勧めています。

まとめ

ブログは、よいモデルを探すことより、比べ方そのものが妨げになっていると気づくことの方が難しかったと書いています。

参考文献

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)

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