米カリフォルニア州のスイスン・シティは、市のサイトの情報で答えるAIの電話の受付を、料金の問い合わせの専用の番号にも広げました。作った会社は、財務の番号の電話の約7割を職員につながずに終えたと数えていますが、住民の用事が済んだかまでは見ていません。時間の節約などの数字もすべて会社の見積もりで、入れる前の測り方がなく、外の人による確かめもありません。
この事例で分からないこと
スイスン・シティ(Suisun City)は人口約3万人の市で、職員は約100人です。住民の質問の電話が、少ない職員に何度も届いていました。
市は2025年9月、代表の電話にAIの受付を置きました。作ったのは、市町村向けの道具を作る米国の会社ポリモーフィック(Polimorphic)です。市はこのAIを「スージー(Susie)」と呼び、サイトでも同じAIが答えます。
財務の課には、水道料金の電話が多く来ていました。電話での支払いは外の会社が受けるので、職員は支払いの手順を話し、外の会社に電話を回すことをくり返していました。会社の事例のページは、こうした電話が1日に40本あったとしています。市は2025年12月、財務の専用の番号にもAIの受付を置きました。
スージーは、市のサイトと警察のサイトに出ている情報で答えます。市の中のデータや、住民ごとの料金の口座は見ません。料金の仕組みを作ったタイラー・テクノロジーズ(Tyler Technologies)の道具ともつながっていないので、料金について一般の説明をして、支払いの会社を案内します。
会社が2024年12月に出した説明の資料では、AIはオープンAIの言語モデル「GPT-4o」を使い、市のサイトや書類から合う情報を探して答えます。答えが見つからないときは、電話を合う課に回します。この資料は会社全体の説明で、スイスン・シティでも同じモデルかは書かれていません。
市は、AIを使う決まりを作っていません。会社は、AIが見られる情報をしぼり、やりとりを後から見られるようにして、安全と個人の情報を守るとしています。
会社の担当者は毎月、市の行政をまとめる部署(シティ・マネージャーの事務所)のマイケル・エルム氏と電話の記録を見直しています。同じ質問が何度も来ると、市のサイトの説明が足りないと分かります。見直しで、サイトに足りない情報が見つかりました。
| 📊 項目 | 数字 | → | 数え方 |
|---|---|---|---|
| 財務の番号の電話 | 月に約1,500本 | → | 会社が数えた |
| 職員につながずに終えた電話 | 約70% | → | 職員に回さなかった電話を「解決」と数える |
| 減った職員の時間(はじめ) | 月に約40時間、年に約2万5,000ドル(約375万円。1ドル150円で換算) | → | 会社の見積もり |
| 減った職員の時間(その後) | 始めてから1万1,659本で約415.3時間 | → | 会社の担当者が出した見積もり |
| 財務の番号を足す作業 | 約1時間 | → | 会社の説明 |
出典:シティーズ・トゥデイ(2026-10-19)、ポリモーフィックの事例のページ。入れる前の時間の測り方と、比べる組は書かれていません
記事は、時間と金額は見積もりで、支出が減ったわけではないと書いています。会社の事例のページは、月に40時間を、入れる前の手間としても、減った時間としても書いています。月に約1,500本と、約10か月で1万1,659本(月に約1,170本)も、そろっていません。
| 📢 公表されている説明 | ⚠️ 確認できていない点 |
|---|---|
| 財務の電話の約7割を職員につながずに終えた | 案内を聞いた住民が、支払いを終えたか |
| 月に約40時間を減らした | 入れる前の時間を、どう測ったか |
| 1万1,659本で約415.3時間を減らした | 1本あたりの時間の決め方 |
| 足す作業は約1時間だった | 市の職員がかけた時間の全体 |
| AIはGPT-4oと検索の仕組みで答える | スイスン・シティで使うモデル。誤った答えの数 |
| 7割・40時間・415.3時間の数字(会社の担当者が出した) | 市が出した記録。外の人が確かめた記録 |
凡例:📢=当事者(市・会社)が公表している説明 ⚠️=出典に書かれておらず、こちらで確認できていない点
出典:シティーズ・トゥデイ(2026-10-19)、ポリモーフィックの事例のページ、会社の説明の資料(2024-12-01)
マンションの管理組合の事務では、ごみの日や駐車場の手続きの電話が何度も来ます。すでに掲示やサイトに出している情報だけで答える形なら、住民ごとの記録に触らずに始められます。
学校の事務室でも、行事の日や持ち物の電話に、出している案内から答える使い方が考えられます。毎月、電話の記録を見て、何度も来る質問から、案内の足りない所を直せます。
効果を数えるときは、何を「解決」と呼ぶかを先に決めます。スイスン・シティの「解決」は、職員に回さなかった電話のことでした。
市は次に、申請の手続きのように、住民ごとの記録を扱う仕事にAIを広げることを考えています。記事は、そうなれば市の中のデータにつなぐ準備が要ると書いています。