プリファードネットワークス(PFN、東京)は2026年10月27日、国内で一から開発している言語モデル「PLaMo(プラモ)」の新版「PLaMo 3.1 Prime」の提供を始めました。Webを繰り返し調べて出典付きのレポートにまとめる「ディープリサーチ(Deep Research)」を加え、社内のサーバーに置く形でも使えるようにしました。PFNが公開した試験の表によると、事実に関する8つの試験の平均は、考えてから答える使い方(推論モード)で前の版より6.4ポイント上がっています。一方で、数学・プログラミングと、検索して短く答える試験では、比べた海外の公開モデルすべてを下回ったと、PFN自身が書いています。
この記事はPFNのプレスリリースと技術ブログ(どちらも10月27日)にもとづきます。試験はすべてPFNが自社の計算機で行ったもので、ほかの機関による確認はまだありません。
プレスリリースは、行政や企業がAIを本格的に使ううえで、次の3つが妨げになっていると書いています。
1. 学習した時点より新しい情報に答えられない2. 誤りをもっともらしく答えてしまう3. 調べものでは機密の情報を扱うことが多く、海外のAIに頼りすぎることや、外のクラウドでのデータの扱いを心配する会社が増えている
新版で加わった主な点は3つです。
1. Webを調べて出典を示して答える機能と、ディープリサーチを加えました。ディープリサーチでは、調べたいテーマを入れると、モデルが調べる計画を立て、情報を集めて整理することを繰り返して、出典付きのレポートにまとめます。かかる時間は数分から数十分です。2. ディープリサーチを、社内のサーバーに置く形でも使えるようにしました。社内文書の検索の仕組みとつなげば、社内文書とWebの両方を調べられます。外とつながない環境で、社内文書だけを調べることもできます。3. 知らないことを当て推量で答えず「分からない」と言うように学習させました。同じ問題を何度も解かせて、安定して正解できない問題は「分からない」と答える例を作り、学習に使っています。
事前学習のもとになったモデルは、情報通信研究機構(NICT)との共同研究で作ったものです。料金は上限つきの無料プランと、100万トークン(AIが文章を区切る単位)あたり入力60円・出力250円のプランがあります。社内に置く形は個別の見積もりです。
PFNは35の試験を9つの分野にまとめ、前の版と、同じくらいの性能の海外の公開モデル4つ(オープンAIのgpt-oss-120b、グーグルのGemma 4 31B IT、アリババのQwen3.8 27B、Muse Glimmer 30B)と比べました。PLaMo 3.1 Primeには、推論モードと、すぐに短く答える非推論モードがあり、PFNはどちらも測っています。非推論モードで比べた海外のモデルは、このモードがあるGemma 4 31B ITとQwen3.8 27Bの2つです。
| 測ったこと | 新版(PLaMo 3.1 Prime) | 比べたもの |
|---|---|---|
| ✅ 事実に関する8つの試験の平均「分からない」と答えるか、渡した資料どおりに答えるか、引用が正しいかなど。推論モード | 前の版より6.4ポイント上 | 前の版(PLaMo 3.0 Prime) 8つのうち1つ(SimpleQA Verified)は9.4→8.9と少し下がった |
| 🔎 検索して出典付きのレポートを書く試験の平均推論モード | 前の版より11.1ポイント上 | 前の版 遺伝子の病気についての質問では46.8→74.3 |
| 🛡️ 安全性 | 両モードで最も高い | 海外の公開モデル |
| 🧮 数学・プログラミング | 両モードとも全モデルを下回る | 海外の公開モデル 非推論モードの数学(米国の高校生向け数学大会の問題、AIME 2024)は前の版の58.0から10.2に下がった |
| 🔎 検索して短く答える試験 | 両モードとも全モデルを下回る | 海外の公開モデル 前の版よりは推論モードで平均2.4ポイント上 |
数字はPFNの技術ブログ(2026年10月27日)の表と本文による。点数はどの試験も0〜100にそろえた値。提供中の版は使う機器に合わせて調整しているため、試験のときと動きや性能が一部違う場合があるとPFNは書いている。
PFNは、非推論モードの答えが長くなりすぎないよう素早く答える学習をさせたため、このモードの数学とプログラミングの点数が下がったと説明しています。推論モードでは、指示に従う試験(IFBench)が72.2から64.8に下がりました。
もとになったのは、開発したPFN自身の発表と技術ブログです。
| 📢 公表されている説明 | ⚠️ こちらで確認できていないこと |
|---|---|
| 事実に関する8つの試験で「平均約15%のスコア改善」プレスリリース。技術ブログの表から計算した前の版との差は、推論モードで6.4ポイント、非推論モードで約8.6ポイント | ⚠️ 「約15%」をどう計算したか |
| 前の版と比べて1.7倍に速くなったプレスリリース。技術ブログの測定は、速くする仕組み(投機的デコーディング)を使う場合と使わない場合の比べで、同時に受ける依頼が1件なら1.70倍、32件なら1.28倍 | ⚠️ 前の版と直接比べた速さ |
| 担当者が数時間から数日かけていた調べものの効率化を支援するプレスリリース | ⚠️ 実際の会社で、調べものの時間がどれだけ変わったか ⚠️ ほかの機関が同じ試験をして同じ点数になるか ⚠️ 提供中のモデルでも同じ点数になるか |
凡例:📢=当事者が公表している説明 ⚠️=出典に書かれておらず、またはこちらで確認できていない点
説明は、PFNのプレスリリースと技術ブログ(どちらも2026年10月27日)による。
取引先の契約書や患者の記録など、外のクラウドに出しにくい資料を持つ会社に関係します。たとえば、整形外科の事務の人が、院内の手順書と最新の制度の情報を突き合わせて調べる使い方です。社内に置く形なら、資料を外に出さずに調べものをさせる選択肢になります。
AIの導入を提案する人なら、作業ごとにAIを選び分ける案を出せます。たとえば、客が直接話しかける窓口のように不適切な質問が来やすい作業と、見積もりの計算のように数学の力が要る作業です。このモデルは、安全性の試験では比べた海外の公開モデルより高く、数学とプログラミングの試験ではすべてを下回ったと、PFN自身が公表しています。
PFNは国産の言語モデルの新版に、出典付きで調べる機能と、社内に置いて使える形を加えました。事実の試験では前の版より上がり、数学・プログラミングと検索して短く答える試験では海外の公開モデルを下回りました。数字はすべてPFN自身の試験で、ほかの機関による確認はまだありません。