カモネです!
Anthropicの最新モデル、Fable 5 がリリースされました。※
※2026/06/13現在、米国政府が外国への輸出禁止および外国籍のユーザーへの使用禁止を指示し、使用不可になってしまいました。現在はモデル名は表示されますが、グレーアウトしていて選択することは出来ません。
Fableは、フェイブルと読み、寓話という意味を持ちます。寓話というのは「教訓や風刺、人生の知恵を伝える目的で、動物や植物などの他の事物にたとえて語られる短い物語のこと」です。元になったMythos(ミソス)が神話という意味なので、ちょっと可愛らしくしました。ということかもしれません。
このFableは、以前AI Newsでも紹介したサイバーセキュリティや生物学といった悪用リスクの高いタスクまでこなせるため一般公開できないとされているMythos(ミソス)級のモデルを、安全性を高めて一般ユーザーでも利用できる形でリリースしたものになります。
具体的には、ユーザーのプロンプトの悪用リスクを判断する識別モデルが間に挟まっていて、危険性が高いと判断した場合は従来モデルのOpus(オーパス)に応答してもらう仕組みです。
AnthropicはFable 5 についていくつかのデモ動画を公開しているのですが、その中に「ポケモンのファイアレッドをクリアするまでプレイさせた」というものがあります。
「AIに仕事をしてもらって人間はゲームで遊ぼうと思ってたのに、なんでAIがゲームで遊んでいるんだよ!」というツッコミを入れたくなるところですが、16時間を超えるような実務タスクというのはそうそう用意できないという話もあり、ゲームプレイというのはキャッチーなだけでなく、自律性・持続性を測るのにちょうどよいテーマなのかもしれません。
動画はプレイの様子を全編観れるようなものではなく、高速でカットされた場面の継ぎ接ぎのようになっていて一般的なゲーム実況動画のようなエンタメ性は一切ないのですが、この動画が示しているのは、一般的な人間のプレイヤーと同じように、「画面を見て、ルールや操作を理解して、ゲームをクリアできる」というところまで自律性が育っているようだ、ということです。
これまでも新しいモデルが出るたびに、「何か面白いゲームを作って」などという適当なプロンプトでAIにゲームを作らせる、という試みは擦られ続けてきました。
このFable 5についても、Xで「Fable つくった」などと検索するだけでも、多くの人が適当にゲームやウェブサイト、ツールを作らせていて、従来より完成度は上がっているように見受けられます。
「広告でよく見るあのゲーム」を再現できたという報告も…
たしかにスゴイはスゴイのですが、「適当な指示だけでそれっぽいものが出てきた」という使い方は全く本質的ではなく、ちょっと勿体ないような気がしてしまいますね。速報性を重視しているのだと思いますが、誰でも出来ることを試してちょっと驚いて終わり、を繰り返しても進歩はありません。
このぐらいであればOpusでもGPTでもできることですしね…
この驚き投稿達の裏で、実はとてつもなく大きな事をしている人がいて、それが表に出てくる時こそが、Fableの真価を知る時なのでしょう。
我々一般ユーザーにとって最も大きな課題は、気軽に使えなくなりそうだよ、という話です。
ClaudeのMAXプランでさえ、あっという間に使い切るぐらい高価なモデルですし、ちょっと試すぐらいが関の山、ということでもあるのかもしれません。
しかも、6/22以降はサブスクでは使えなくなることが宣言されています。(全く関係ありませんが、6/22は私の誕生日…)
AnthropicはIPOによる資金調達をしようとしていて、株主からの収益性のプレッシャーがかかることが予想されています。競合のOpenAIをはじめ、SpaceXなども同様にIPOを予定していますし、業界全体が黒字化に舵を切っていく流れが加速していきそうです。
下位モデルでも十分いろんなことができますし、問題ないといえばないのですが、「AI課金」という新たな格差が広がっていくのかもしれませんね。
AntAnthropicはAIが人間の手を借りず、自律的にAIの開発を行うRSI(Recursive Self-Improvement | 再帰的自己改善)の兆候についても警告的な発信しています。
When AI Builds Its Self | Anthropic
この記事では、随所にAnthropicの社員のコメントが挟まれており、「AIで全部うまくいってしまうと、自分がやっていることに意味がないような気がしてくる。AIだけで作ったものが壊れたとき、何が起きているのか全く分からない。」という主旨のコメントもあります。
今をときめくAnthropicの社員ですら、巷で言われる「AIの言うこと、やることを鵜呑みにすると危険だよ」とか「AIでできることなら、人間がやる意味が感じられなくなってきた」というやらかしを実感しているのだとしたら…親近感が沸くと同時に恐ろしくもあります。
高性能なAIが仕事を回し、人間が働くことの意味が希薄になっていくのだとしたら、我々はその現実とどう向き合っていくのでしょう。いきなり直面するとショックが大きいと思うので、今から心の準備をしていた方がよいのかもしれません。
今回は、AnthropicのFable 5のリリースを取り上げて、未来に思いを馳せてみました。
AIラボのIPOによって、Fableのような最上位モデルは一般ユーザーにとっては高級品になる可能性が高いです。AIモデル全体の性能も底上げされていくので、最上位モデルを使えなくても支障はないかもしれません。しかし、最上位モデルを使える選択肢を持っているかどうかは可能性の大きさに直結するでしょう。
そして、AIが多くのホワイトカラーの仕事を自律的に回せるようになるのだとすれば、仕事は「自分にしかできないこと」「自分がやるべきこと」ではなくなる可能性があります。
社会とのつながり、義務感、自己効力感、といったものが今の仕事から得られなくなるとしたら、それはアイデンティティーの危機です。
私の結論としては、いつでも最上位モデルにアクセスできるだけの資金は確保しておきつつ、やるべきことだけではなく自分が本当にやりたいことに意識を向け、育てていくことが大事なのかなと思います。
皆さんは、どうしますか?